さつまいも生産量ランキング2026!鹿児島と茨城の首位争いと激変の真相
秋の味覚としてだけでなく、近年の第4次焼き芋ブームやスイーツ原料としての需要拡大により、農業界屈指の成長品目として熱い視線を集める「さつまいも」。コンビニやスーパーの店頭には蜜が滴る焼き芋が年中並び、海外への輸出額も右肩上がりを記録しています。しかし、その華やかな市場の裏側で、国内の生産現場では歴史的な地殻変動が起きています。
長年にわたり圧倒的な首位に君臨してきた鹿児島県と、青果用を中心に猛追する茨城県による頂上決戦。さらに産地を揺るがす病害の猛威や品種交代劇など、供給体制は激動の渦中にあります。農林水産省 作物統計(2026年最新公表データ)を基に、全国の都道府県別さつまいも生産量ランキングと、シェア激変の深層を徹底取材しました。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:全国収穫量のツートップは鹿児島県と茨城県であり、両県だけで国内総生産量の約6割超を占める。
- 要点2:サツマイモ基腐病の流行と焼き芋需要の急拡大により、青果用・加工用を含めた産地シェアの力関係に大きな異変が生じている。
- 要点3:「べにはるか」「シルクスイート」といった高糖度・しっとり系品種への移行が進み、ブランド化と病害対策が産地の命運を分ける局面に突入した。
【2026年最新】全国さつまいも生産量ランキング一覧とシェア割合

農林水産省が公表した最新の作物統計データによると、全国の年間さつまいも収穫量は約70万〜75万トン規模で推移しています。上位都道府県の顔ぶれと、それぞれの収穫量・全国シェアの構成比は次の通りです。
全国トップに君臨するのは鹿児島県(年間収穫量:約22万〜24万トン前後/全国シェア約32〜34%)です。焼酎原料用やでんぷん原料用、青果用まで幅広い用途をカバーする巨大産地として首位の座を守っています。これに肉薄するのが第2位の茨城県(年間収穫量:約19万〜21万トン前後/全国シェア約28〜30%)であり、特にスーパーや青果店に並ぶ「青果用さつまいも」や「干し芋」の分野では全国圧倒的トップのシェアを誇ります。
続いて第3位は千葉県(収穫量:約7万トン前後/シェア約10%)、第4位は宮崎県(収穫量:約5万5000トン前後/シェア約8%)、第5位は関西圏の一大ブランド「鳴門金時」を擁する徳島県(収穫量:約3万5000トン前後/シェア約5%)が続きます。上位5県だけで全国収穫量の8割以上を占めており、さつまいも生産は極めて特定の地域に集約された構造となっています。
鹿児島県VS茨城県!「日本一の産地」をめぐるシェア激変の真相

長らく「さつまいも王国」といえば鹿児島県が絶対的な王座に君臨し、2位の茨城県に大差をつけていました。しかし直近のデータでは、両者の収穫量の差がかつてないほど急速に縮まっています。一部の青果・流通指標においては実質的な逆転現象すら指摘されるなど、さつまいもの日本一産地をめぐる争いは激化の一途をたどっています。
このシェア激変が生じた最大の背景には、「用途の違い」と「消費トレンドの変化」があります。鹿児島県の生産量は焼酎原料用(コガネセンガンなど)や工業用でんぷん向けが過半を占めており、加工向けの一括大量出荷が基盤でした。対照的に、茨城県は首都圏という巨大消費地を至近に控え、食卓向けや焼き芋専用の「青果用」、そして全国シェア9割を握る「干し芋加工」に特化して生産体制を強化してきた歴史があります。
近年の焼き芋ブームに伴い、市場で高い卸売価格がつくのは圧倒的に青果用です。高収益な青果用に強みを持つ茨城県が作付面積と施設投資を拡大した結果、金額ベースおよび市場流通における存在感で鹿児島県を脅かす事態へと発展しました。
生産量激変の引き金「サツマイモ基腐病」の深刻な影響と現状

産地の勢力図を根底から揺るがした決定的な要因が、2018年秋以降に南九州で確認された植物病害「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」の全国的拡大です。糸状菌(カビ)の一種によって茎の地際が黒変して腐敗し、塊根(芋)まで腐らせるこの病気は、収穫前に圃場全体を壊滅させるほどの猛威を振るいました。
特に鹿児島県や宮崎県などの九州産地では、主力である焼酎用原料芋の収穫量が一時大幅に落ち込み、地元酒造メーカーが一部銘柄の販売休止や終売を余儀なくされるなど、地域産業全体に甚大な影響をもたらしました。これが鹿児島県のさつまいも収穫量が減少した主因であり、統計上の全国総生産量を押し下げる要因にもなりました。
現在では、農研機構や各県農業試験場による基腐病抵抗性品種(「みちしずく」など)の開発・普及、土壌消毒や健全なウイルスフリー苗の供給体制整備が進み、南九州の生産現場は底打ちからの回復軌道を描きつつあります。しかし、防疫対策にかかる資材費や手間の増加は生産現場のコストを圧迫しており、病害管理の成否が各産地の供給力を左右する状況が続いています。
第3位の千葉県から徳島県「鳴門金時」まで!上位産地の強みと特徴
トップ2県に続く産地も、独自の強みと地域特性を活かした確固たるポジションを築いています。
千葉県の生産順位は全国第3位を維持しており、成田市や香取市を中心とする北総台地の火山灰土壌(関東ローム層)が栽培に適しています。千葉県は伝統的な「ベニアズマ」の主産地として知られてきましたが、近年は「べにはるか」や「シルクスイート」の導入を進め、大消費地である東京市場へ新鮮な芋を迅速に送り届ける地理的アドバンテージを最大限に活かしています。
第4位の宮崎県は、鹿児島県と同様に本格焼酎の仕込み用芋の供給基地であると同時に、「宮崎紅」などのブランド青果用芋でも高い評価を得ています。
そして第5位に位置する徳島県のさつまいも生産量は、量こそ上位県に及ばないものの、ブランド価値において突出しています。鳴門海峡近くのミネラル豊富な砂地畑で栽培される「鳴門金時(なるときんとき)」は、上品な甘みと美しい黄金色の果肉、ホクホクとした食感が特徴です。関西・西日本市場において高級贈答用や和洋菓子原料として圧倒的な指名買いを獲得しています。
焼き芋ブームが変えた品種勢力図|べにはるか・シルクスイートの台頭
品種別の栽培比率に目を向けると、日本のさつまいも市場はここ10数年で劇的な世代交代を遂げました。かつて東日本の主流だったホクホク系の「ベニアズマ」や西日本の「高系14号」に代わり、市場を席巻したのが「ねっとり系」「しっとり系」と呼ばれる極甘品種です。
現在、最も広い作付面積を誇るのが「べにはるか」です。糖度が非常に高く、じっくり加熱することで安納芋をも凌ぐ濃厚な甘みと滑らかな舌触りを生み出します。茨城県をはじめ九州・関東全域が主要産地となっており、スーパーの店頭焼き芋専用機で提供される芋の大半を占めるまでに成長しました。
一方、絹のようななめらかな舌触りと上品ですっきりとした甘さで急成長したのが「シルクスイート」です。群馬県で誕生し、茨城県や福島県、千葉県などを主要産地として広まりました。繊維質が少なくなめらかな食感を持つことから、焼き芋だけでなく冷やし焼き芋やパティスリー向けのスイーツ素材としても絶大な人気を博しています。
さつまいも生産量の年次推移とこれからの市場展望
農林水産省の作物統計に見るさつまいも生産量の年次推移をたどると、昭和中期には400万トンを超えていた国内生産量は、でんぷん用途の輸入代替や食生活の多様化とともに長期的な減少傾向をたどってきました。直近10年ほどは80万〜100万トン前後で安定していたものの、基腐病の発生以降は70万トン台前半まで落ち込む局面が見られました。
しかし、足元の需要動向は極めて堅調です。国内では「冷やし焼き芋」の定着によって秋冬中心だった消費が通年化し、健康志向(準完全栄養食としての評価や低GI食品としての認知)から若年層やフィットネス層の日常食としての消費が定着しました。
さらに、東南アジア(香港、シンガポール、タイなど)を中心とする日本産さつまいもの輸出量は過去最高水準を更新し続けています。日本の高い選果技術と高糖度品種は海外でもプレミアムスイーツとして高値で取引されており、今後は国内消費のみならず輸出志向型の高付加価値農業としての成長が期待されています。
【さつまいも生産量ランキング】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:さつまいもの生産量が日本一の都道府県はどこですか?
A1:年間総収穫量では鹿児島県が全国第1位です。ただし、家庭の食卓や焼き芋用として流通する「青果用さつまいも」に限れば、茨城県が全国第1位の収穫量とシェアを誇っています。
Q2:なぜ鹿児島県と茨城県でさつまいもの栽培が盛んなのですか?
A2:両県ともに水はけが良い火山灰土壌(鹿児島のシラス台地、茨城の関東ローム層)が広がっており、水田に適さない土地でもさつまいもが良く育つ気候・風土条件が揃っていたためです。また、鹿児島では芋焼酎産業、茨城では干し芋加工産業という地域に根ざした巨大な加工需要が存在することも大きな理由です。
Q3:甘くてねっとりした人気のさつまいも品種は何ですか?
A3:現在最も人気を集めている代表格は「べにはるか」です。強い甘みとねっとりした食感が特徴で、焼き芋の主力品種となっています。また、なめらかなシルクのような舌触りが特徴の「シルクスイート」や、ねっとり系の先駆けである種子島原産の「安納芋」も根強い人気を誇ります。
まとめ:産地の構造変化から見えてくるさつまいもの未来
全国のさつまいも生産現場は、基腐病という未曾有の危機を乗り越え、品種改良と防疫体制の高度化によって新たな成長フェーズへと突入しています。焼酎文化と歴史を背負う鹿児島県と、青果・加工スイーツ市場を牽引する茨城県によるハイレベルな切磋琢磨は、日本のさつまいも全体の品質とブランド力を底上げする原動力となっています。
「焼き芋ブーム」から「日常の定番フード」、そして「世界へ羽ばたく輸出農産物」へと進化を遂げるさつまいも。産地ごとの特色や品種の進化に注目しながら味わうことで、日々の食の楽しみはさらに深まるはずです。 (出典: さつまいも 生産 量 ランキング(Yahoo!ニュース))