【弓道】弦輪の作り方を徹底解説!ほどけない結び方とコツの極意
弓道を始めたばかりの初心者が最初に直面する技術的な壁の一つが、「弦輪(つるわ)の作り方」です。新品の弦を購入した際、上側には赤い輪があらかじめ作られているものの、下側の白い輪は自分の弓の長さに合わせて自作しなければなりません。結び方が甘いと行射中に弦輪が解けて弓を痛めたり、最悪の場合は思わぬ事故につながったりする危険性があります。
一方で、一度正しい結び方の構造とテンションの掛け方を身体で覚えてしまえば、麻弦でも合成弦でも緩まない強固な弦輪を数分で仕立てられるようになります。本稿では、日の輪と月の輪の基礎知識から、絶対にほどけない結び方の実践手順、弦高(つるだか)を適正に保つサイズ調整のコツまで、弓道人が押さえておくべきポイントを網羅して解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:赤輪の「日の輪」は上弭(うわはず)へ、自作する白輪の「月の輪」は下弭(もとはず)へ装着する
- 要点2:解ける最大の原因は「折り返しの締め込み不足」と「輪の大きさの不一致」にあり、摩擦ロックを効かせる手順が不可欠
- 要点3:適切な弦高(約15cm)を維持できるよう、弦の素材特性(麻弦・合成弦)に応じた微調整を行う
【基礎知識】「日の輪」と「月の輪」の違い|赤輪・白輪と上弭・下弭の正しい対応

弓道で使用する弦には、上下を明確に区別するためのルールが存在します。市販されている多くの弦は、片側に赤い繊維が巻き付けられた「日の輪(赤輪)」があり、もう片方は何も加工されていないか、白い下処理が施された「月の輪(白輪)」を作るための端部になっています。
この二つの輪は、弓の装着位置が明確に決まっています。
- 日の輪(赤輪):弓の上端にある「上弭(うわはず)」に掛ける
- 月の輪(白輪):弓の下端にある「下弭(もとはず)」に掛ける
上弭用の日の輪はメーカー出荷時にすでに結ばれていることが大半ですが、下弭用の月の輪は射手自身が自分の弓(並寸、二寸伸、四寸伸など)に合わせて結び目を作らなければなりません。古くからの射法訓や作法においても、太陽を表す赤(日)を天に向け、月を表す白を地に向けるという意味合いが込められています。装着の上下を誤ると、弓のキロ数バランスが崩れるだけでなく道具への負担も増すため、まずはこの基本関係を確実に把握しておきましょう。
【実践手順】失敗しない弦輪の作り方と結び方の完全ステップ

月の輪を作る手順は一見複雑に見えますが、構造そのものは「輪を作って先端を潜らせ、自らの張力で締め込む」シンプルな摩擦結びです。頭の中で図解をイメージしながら、以下のステップに沿って進めてください。
ステップ1:輪の大きさを決める
弦の端から約10〜12cm程度の位置を折り返し、下弭の溝にぴったり収まるサイズの輪を作ります。輪の内径の目安は、親指の第一関節より一回り小さい程度です。
ステップ2:本線に交差させて裏から回す
折り返した先端(余り糸)を、弦の本線(本体側)の上に重ねて交差させます。交差させた先端を本線の下(裏側)からくぐらせて手前に引き出します。
ステップ3:輪の根元に先端を潜らせる
引き出した先端を、最初に作った輪の根元のループに向かって上から差し込み、しっかりと通します。
ステップ4:折り返して本線とより合わせる
輪から出た先端を折り返し、本線の撚(よ)りに沿わせるように巻き込むか、余り糸を結び目の内側にしっかりと押し込みます。
ステップ5:結び目を完全に締め上げる
輪の中に指を通し、本線と余り糸を逆方向に強く引っ張って結び目を固めます。このとき、結び目が平らにつぶれず、しっかりと撚りが噛み合っていることを確認してください。
引いている最中に「絶対ほどけない」プロ直伝の結び方のコツ

「弦を張った直後や、会に入って強い負荷がかかった瞬間に月の輪が抜けてしまった」というトラブルは、初心者の稽古で頻繁に見られます。弦輪がほどけてしまう原因の9割は、「結び目の締め込みの甘さ」と「余り糸の処理方向の誤り」です。
絶対にほどけない弦輪に仕上げるための要点は、以下の3点に集約されます。
第一に、結び目を手だけで引っ張るのではなく、下弭に仮掛けした状態で体重をかけて一度グッと引き締め、初期伸びと摩擦定着を促すことです。結び目の内部にわずかでも隙間が残っていると、弓の反発力に耐えきれず徐々にずれてしまいます。
第二に、余り糸(先端部分)の長さです。余り糸が短すぎるとテンションがかかった際に結び目の中に吸い込まれて解けてしまいます。最低でも1.5cm〜2cmほどの余りを残し、本線側にしっかりとなじませるのが鉄則です。
第三に、輪の大きさを「少しきつめ」に設定することです。下弭に対して輪が大きすぎると、弭の肩に乗っかってしまい、弦を張ったときの負荷が結び目に正しく伝わらず、摩擦ロックが機能しにくくなります。
麻弦と合成弦で異なる弦輪作りの注意点と大きさの微調整法
現在流通している弓道の弦には、天然素材の「麻弦」と、ケブラーやザイロン、ダイニーマなどの化学繊維を用いた「合成弦」の2種類があります。素材によって繊維の摩擦特性が大きく異なるため、弦輪の扱いにも工夫が求められます。
合成弦は耐久性に優れ切れにくい反面、繊維の表面が非常に滑らかです。そのため、結び目を手で締めただけでは滑って抜けるリスクがあります。合成弦で月の輪を作る際は、結び目の折り返し部分を指先で強く押しつぶすように圧着させ、摩擦を最大限に効かせることが重要です。
一方の麻弦は、天然の繊維が互いに噛み合うため一度結ぶと解けにくい特性を持っていますが、乾燥に弱く急激な折り曲げで繊維が断裂する危険があります。麻弦を結ぶ際は、あらかじめ「くすね(松脂と油を練り合わせたもの)」を結び目周辺に塗り込み、摩擦熱でなじませてから結ぶと強度と耐久性が劇的に向上します。
また、弦輪が完成したら弓に張り、弦高(握り革の内側から弦までの距離)を測定します。標準的な弦高は約15cm(五寸前後)です。弦高が高すぎる場合は月の輪を小さく(弦を長く)作り直し、低すぎる場合は弦を数回撚って調整するか、月の輪をわずかに大きくして適正位置に合わせます。
弦を張った後の必須ステップ|中仕掛けの作成と弦巻での正しい保管
強固な弦輪が完成し、弓に弦を無事に張ることができたら、次は矢を番(つが)えるための「中仕掛け(なかじかけ)の作成」へと移ります。
中仕掛けは、矢筈(やはず)がぴったりと収まる太さに麻糸や専用の補強糸を巻き付け、ボンドやくすねで固めて仕上げる重要なパーツです。月の輪のサイズが安定していない段階で中仕掛けを作ってしまうと、後から弦輪を微調整した際に中仕掛けの上下位置がずれてしまい、矢飛びや的中精度に深刻な悪影響を及ぼします。必ず弦輪の結び目をしっかり馴染ませ、弦高が定まった状態で位置決めを行ってください。
また、稽古を終えて弦を外した後の保管方法も弦の寿命を左右します。弦を保管する際は「弦巻(つるまき)」を用いますが、巻き始めと巻き終わりに弦輪を無理に折り曲げてはいけません。
弦巻に巻き取る際は、日の輪・月の輪の形状を崩さないよう輪を自然な形で沿わせ、中仕掛け部分に鋭角な折り目がつかないよう円形に巻き収めるのが基本です。丁寧な保管を心がけることで、弦輪の結び目が緩むのを防ぎ、次回の稽古時にも安定した弓力を引き出すことができます。
【弓道の弦輪の作り方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:月の輪の大きさが合わず、弦高が高くなりすぎてしまいます。どう直せばいいですか?
A1:弦高が高すぎる(16cm以上など)場合、弦全体の長さが足りていません。一度月の輪の結び目を解き、輪の折り返し位置を端寄りにずらして「輪を小さく(=弦の有効長を長く)」作り直してください。わずかな差であれば、弦の撚りを少し戻すことでも弦高を下げられます。
Q2:練習の途中で月の輪がすっぽ抜けてしまいました。何が原因でしょうか?
A2:主な原因は「先端の余り糸が短すぎたこと」または「結び目を本線に潜らせた後の締め込み不足」です。合成弦の場合は繊維が滑りやすいため、結び目の交差部分を平らにつぶすように強く圧着し、余り糸を2cm以上残して巻き直してください。
Q3:初心者が弓に弦を張る際、上弭と下弭のどちらから掛けるのが正しいですか?
A3:必ず上弭に「日の輪(赤輪)」を深くしっかりと掛け、その後に弓をしならせて下弭に「月の輪(白輪)」を掛けます。外す際は逆の手順で、下弭の月の輪から外すのが弓道の安全な作法です。
まとめ:正しい弦輪の作り方をマスターして安全かつ美しい射を目指そう
弦輪作りは、単なる道具の準備にとどまらず、弓道における安全管理と的中精度の基盤を支える不可欠な技術です。上弭にかける日の輪と、下弭にかける月の輪の役割を正しく理解し、摩擦を確実に効かせる結び方を体得すれば、練習中に弦が緩む不安は完全に解消されます。
素材ごとの特性を見極め、弓の長さに応じた適正なサイズ調整を行えるようになることは、射手としての自立に向けた確かな一歩です。確実な弦輪の仕立てを身につけ、日々の稽古に自信を持って臨みましょう。 (出典: 弓道 弦 輪 の 作り方(Yahoo!ニュース))